滲んでいた
その街が滲んでいたのか
街をみつめる目が滲んでいたのか…
滲んでいた……
雪は、溶けていた
街にふる 珍しい雪
でもそれは
跡形もなく 雨に溶けて
消えていった…
白かったはずの街は
いつの間にか …滲んでいた
わたしの目が、滲んでいるのか
それはわからなかった
雪は消えた
跡形もなく
それは
まるで夢だったのだよ と
手のひらに舞い降りた雪が
刹那に水滴となるように
つかめないものへと
スッと音もなく消えていった
雪は水に姿を変えて
また帰るべきところへ
泳いで行った
だから 街は滲んでいたんだ
…白き雪の名残を惜しんで